はじめに
損害賠償義務の発生原因とは、2つに大別され、不法行為に基づくものと、債務不履行に基づくものがあります。
そこで、債務不履行に基づく損害賠償について、法律素人が調べてみました。
債務不履行とは
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないこと、または債務の履行が不能であることを、債務不履行といいます。
この場合、債権者は一定の要件のもとで、債務者に対して、債務不履行によって被った損害賠償を請求することができます。
(債務不履行による損害賠償)
第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない。
債務者は、自らの自由意思によって契約関係に入り債務を負担したのであるから、その債務の不履行については、原則としてその責任を負うべきである。但し、その契約のもとで当該債務者がリスクを引き受けたと解されない事由によって生じた不履行については、当該債務者は責任を負わない。
債務不履行に基づく損害賠償請求の要件
債務不履行に基づく損害賠償請求権が認められるための要件は、
- 債務の存在
- 事実としての不履行
債務の本旨に従った履行がされなかったという客観的事実をいう。 - 損害の発生
- 「事実としての不履行」と「損害の発生」との間の因果関係
- 債務者の責めに帰することができない事由の不存在
事実としての不履行
債務不履行は、不履行の態様に応じて、次の3つに分類される。
- 履行遅滞
履行が可能であるにもかかわらず、履行期日に履行されないこと
以下の3要件を満たす必要がある。
1.履行が可能であること
2.履行期が経過したこと
3.履行がされないこと - 履行不能
履行が不可能であるため、履行できないこと - 不完全履行
外形的には履行行為がされたが債務の本旨に従っていないこと
履行期が経過したか否かの判断は、412条に即して行われる。
(履行期と履行遅滞)
第412条 債務の履行について確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した時から遅滞の責任を負う。
2 債務の履行について不確定期限があるときは、債務者は、その期限の到来した後に履行の請求を受けた時又はその期限の到来したことを知った時のいずれか早い時から遅滞の責任を負う。
3 債務の履行について期限を定めなかったときは、債務者は、履行の請求を受けた時から遅滞の責任を負う。
不完全履行については、債務の具体的内容を確定し、債務者がこれを適切に履行したか否かを検討する必要がある。
契約における中心的な義務を給付義務というが、契約に基づいて発生する義務は、給付義務だけではなく、当事者の合意または当該契約の性質上、債務者が負うべき付随義務も同時に発生する。
このなかには、給付義務に関連するものと、そうでないものとがあるが、これらの付随義務に違反があった場合にも、不完全履行となる。
債務には、目的物の占有移転という結果の達成を目的とする債務(引渡債務)と、それを除く作為または不作為を内容とする債務(行為債務)がある。
また、行為債務も以下の2つに分類される。
- ある行為によって一定の結果を達成することを目的とする債務(結果債務)
- ある行為なすことそれ自体を目的とする債務(手段債務)
ある債務がどちらに分類されるかは、当該債務の発生原因が契約の場合は契約の趣旨・目的に照らして判断することになる。
手段債務においては、債務の内容が「ある行為をなすこと」それ自体であるから、何をどの程度行えば「債務の本旨に従って」履行したことになるのかが、結果債務ほど明確ではない。