【第107回】控訴審判決5

はじめに

敷金返還請求事件の控訴審において、先日、裁判所から判決文が送付されてきました。

今回はその内容について記載しようと思います。控訴人が賃貸人で、被控訴人が賃借人です。

裁判所の判決文(5)

(4)からの続き)

(9)「玄関・廊下 床上張り 材工共」(番号9)について
証拠(乙2の写真②③、乙6の写真③④⑥)によれば、本件居室の玄関付近やリビングにつながる通路の床面には、広範囲にわたって、多数の凹みや筋状の傷があると認められ、控訴人の居住期間を考慮しても、通常損耗の範囲を超えるものであって、特別損耗というべきであり、上記通路の床材の張替工事が必要と考えられる。そして、本件見積書によれば、管理会社はその原状回復費用を■■円と見積もったと認められ、上記損傷の内容等に照らして相当といえるから、上記損傷の原状回復費用として相当と認める。よって、上記同額に、控訴人が主張する負担割合(50%)を乗じた■■円につき、被控訴人が負担する原状回復費用と認める。(10)「リビング 網戸張替え」(番号10)について
証拠(乙2の写真⑰、乙6の写真㉟)によれば、本件居室南東側のリビングの南側の網戸に破れがあると認められ、通常損耗の範囲を超えるものであって、特別損耗というべきであり、その原状回復としては、上記網戸の張替工事が必要と認められる。そして、本件見積書によれば、管理会社はその原状回復費用を■■円と見積もったと認められ、上記損傷の内容等に照らして相当といえるから、上記損傷の原状回復費用として相当と認める。よって、上記同額に、控訴人が主張する負担割合(50%)を乗じた■■円につき、被控訴人が負担する原状回復費用と認める。

(11)「リビング10.3帖 床上張り 材工共」(番号11)について
証拠(乙2の写真⑪ないし⑭、乙6の写真㉕ないし㉚)によれば、本件居室南東側のリビングの床面には、広範囲にわたって、接触によって生じたような相当多数の筋状ないし点状の損傷が認められ、通常損耗の範囲を超えるものであって、特別損耗というべきであり、その原状回復として、上記床面の床板等の張替工事が必要と考えられる。そして、本件見積書によれば、管理会社はその原状回復費用を■■円と見積もったと認められ、上記損傷の内容等に照らして相当といえるから、上記損傷の原状回復費用として相当と認める。よって、上記同額に、控訴人が主張する負担割合(50%)を乗じた■■円につき、被控訴人が負担する原状回復費用と認める。

(12)「洋室8.1帖 床上張り 材工共」(番号12)について
証拠(乙2の写真⑦、乙6の写真⑭)によれば、本件居室北西側の寝室の床材の一か所に破損を認めることができ、被控訴人の居住期間を考慮しても、通常損耗の範囲を超えるものであって、特別損耗というべきであり、その原状回復として、上記居室の床板等の張替工事が必要と考えられる。そして、本件見積書によれば、管理会社はその原状回復費用を■■円と見積もったことが認められるが、他方、上記破損は一か所にとどまり、かつ、破損の程度は大きいとはいえないことにも照らせば、上記損傷の原状回復費用として■■円を相当と認める。よって、上記原状回復費用に、控訴人が主張する負担割合(50%)を乗じた■■円につき、被控訴人が負担する原状回復費用と認める。

(13)「洋室6.4帖 床上張り 材工共」(番号13)について
証拠(乙2の写真⑱⑲、乙6の写真㊱ないし㊴)によれば、本件居室南西側の寝室の床面には、全体にわたり、接触ないし衝突によって生じたような多数の傷や穴等の損傷が認められ、被控訴人の居住期間を考慮しても、通常損耗の範囲を超えるものであって、特別損耗というべきであり、その原状回復として、上記居室の床板等の張替工事が必要と考えられる。そして、本件見積書によれば、管理会社はその原状回復費用を■■円と見積もったことが認められ、上記損傷の内容等に照らして相当といえるから、上記損傷の原状回復費用として相当と認める。よって、上記同額に、控訴人が主張する負担割合(50%)を乗じた■■円につき、被控訴人が負担する原状回復費用と認める。

(14)「玄関 靴箱 ダイノック張替え」(番号14)について
証拠(乙6の写真㊼㊽)及び弁論の全趣旨によれば、被控訴人は、その居住期間中、控訴人に無断で、本件居室入り口付近の玄関の靴箱に粘着テープで取っ手3個及び鏡2枚を貼り付けて設置し、これを撤去することなく本件居室から退去したことが認められ、上記について被控訴人が原状回復義務を負うことは明らかであり、また、上記の内容及び鏡等の設置状況に照らし、原状回復として、上記靴箱に設置されたダイノックシート(化粧板)の張替えが必要と考えられる。そして、本件見積書によれば、管理会社はその原状回復費用を■■円と見積もったことが認められ、上記損傷の内容等に照らして相当といえるから、上記損傷の原状回復費用として相当と認める。よって、上記同額に、控訴人が主張する負担割合(100%)を乗じた■■円につき、被控訴人が負担する原状回復費用と認める。

(15)「洋室8.1帖入口枠 ダイノック張替え 材工共」(番号15)について
証拠(乙6の写真⑤)によれば、本件居室北西側の寝室の入口扉に衝突によって生じたような損傷が認められ、被控訴人の居住期間を考慮しても、通常損耗の範囲を超えるものであって、特別損耗というべきである。また、上記の損傷内容に照らし、上記扉のダイノックシートの張替え等の工事が必要と考えられる。そして、本件見積書によれば、管理会社はその原状回復費用を■■円と見積もったことが認められ、上記損傷の内容等に照らして相当といえるから、上記損傷の原状回復費用として相当と認める。よって、上記同額に、控訴人が主張する負担割合(100%)を乗じた■■円につき、被控訴人が負担する原状回復費用と認める。

(6)に続く)