【第43回】債務不履行に基づく損害賠償(4)

はじめに

損害賠償義務の発生原因とは、2つに大別され、不法行為に基づくものと、債務不履行に基づくものがあります。

そこで、債務不履行に基づく損害賠償について、法律素人が調べてみました。前回のブログの続き(第4回)です。

証明責任

訴訟において債権者が債務不履行に基づく損害賠償を請求する場合には、債権者は、

  1. 債務の存在
  2. 事実としての不履行
  3. 損害の発生およびその額
  4. 因果関係の存在

について、証明責任を負う。

これに対して、免責を主張する債務者は、不履行が自らの責めに帰することができない事由によるものであることについて証明責任を負う。

以前のブログにて記載した付随義務・保護義務違反に関しては、債権者は、

  1. 債務者が付随義務・保護義務を負うこと
  2. 義務の具体的内容
  3. 債務者がこの義務に違反したこと

について、証明責任を負う。

損害賠償の範囲

(損害賠償の範囲)
第416条 債務の不履行に対する損害賠償の請求は、これによって通常生ずべき損害の賠償をさせることをその目的とする。
2 特別の事情によって生じた損害であっても、当事者がその事情を予見すべきであったときは、債権者は、その賠償を請求することができる。
「通常生ずべき損害」(通常損害)とは、債務不履行によって生じると定型的に考えられる損害。具体的にどのような損害が含まれるかは、契約類型、契約当事者の属性、目的物、その他の契約内容などに照らして、事案ごとに個別に判断される。
債権者が損害賠償を請求する際に要した弁護士費用は、原則として通常損害に含まれない。但し、生命・身体の損害の場合には、一定の弁護士費用が通常損害として賠償が認められることが多い。
「特別の事情によって生じた損害」を特別損害という。何が特別の事情にあたるかは、事案ごとに個別に判断される。

損害賠償額の予定

(賠償額の予定)
第420条 当事者は、債務の不履行について損害賠償の額を予定することができる。
2 賠償額の予定は、履行の請求又は解除権の行使を妨げない。
3 違約金は、賠償額の予定と推定する。
損害賠償の予定がある場合には、たとえその予定賠償額よりも現実の損害が大きかったり小さかったりすることが判明しても、裁判所はその額を増減するこができない。契約自由の原則の表れである。

契約責任の時間的拡大

契約上の義務は、契約成立によって発生し、契約関係の終了によって消滅するはずである。したがって、契約成立前や契約終了後の紛争は、通常は不法行為によって処理される。

しかし、契約成立前や契約終了後の当事者間にも、契約に起因する義務が信義則上認められ、この義務の違反が契約責任として位置づけられることがある。(契約責任の時間的拡大)

契約成立前の義務として、誠実交渉義務、契約交渉継続義務が挙げられる。

契約責任の量的拡大

契約は、その効果として、当事者間に給付義務を発生させる。しかし、契約から生じる義務はこれにとどまらず、給付義務の周辺領域にある義務(付随義務)が観念されるようになり、この義務違反は、債務不履行に取り込まれた。

 

以上