はじめに
先日、第2回口頭弁論期日を迎えました。
私の訴状に対して、相手方の認否・主張を記載した書面(準備書面)が当日まで届かなかったため、どうなることやら、と思っていましたが、第2回期日の審理開始直前に、担当書記官より手渡しされました。
準備書面の記載内容(2/2)
準備書面(1)の記載内容について、
次は、被告の主張です。
(2021年9月26日 相手方弁護士からの修正版をもとに修正)
準備書面(1)
第2 被告の主張
1 本件賃貸借契約について
(1) 本件賃貸借契約の貸主は
、被告オーナー会社であり、被告管理会社は貸主から本件賃貸借契約の代理人として委託を受けて、賃借人との交渉窓口となっているに過ぎない。
また、本件物件の貸主借主は、実際に利用するのは原告であるが(甲1の1・貸主借主(丙))、社宅として利用するため訴外〇〇株式会社(以下「訴外〇〇」という)も共同で貸主借主となっている(甲1の1・貸主借主(乙))。
そのため、本件賃貸借契約に関する契約及びその後の対応等については、貸主借主側は実際の利用者(入居者)である原告自身が対応している。(2) 本件賃貸借契約は、主たる契約のほか、本件説明書及び退去時の住宅補修査定基準(乙1)が一体となっており、実際にこれらを綴って賃貸人及び賃借人において契印を押している。
以上より、本件説明書は、賃借人である原告が説明を受けた上で、合意したものである。
この点、原告はあたかも訴外〇〇のみが署名押印しており、原告はその存在を知らない旨の主張をするが、本件説明書に訴外〇〇として署名押印しているのは、共同の賃借人であり実際の利用者(入居者)である原告自身であり、事実に反するものである。2 本件建物の原状回復費用について
(1) 本件建物の原状回復費用については、2021年○○月〇〇日付工事見積書(以下「本件見積書」という。甲2の3)に記載のとおりであり、その内容及び実際の状況については、被告らから原告に対して十分説明を尽くしている。
なお、本来は本件物件の退去時に賃借人の立ち合いを実施し、損傷部位等について賃貸人側と確認を行う機会を設けることになっており、原告に対しても令和3年1月10日にこれを実施する旨連絡したものの、原告が立ち合いを拒否したため実施できなかった、という経緯がある。
その後、被告管理会社において退去後の本物件の確認を行ったところ、原告の善管注意義務違反と判断すべき部分が多数存在していたため、当該部分については、本件見積書の備考欄に「賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書による」又は「善管注意義務違反」と記載のうえ、原告に対して通知を行っている。(2) 本件賃貸借契約において、「通常の使用に伴い生じた本件物件の損耗を除き、本物件を原状回復しなければならない」とされており(同契約11条)、同契約と一体となる本件説明書では、【2】「当該契約における賃借人の負担内容について」・[2](1)「賃借人の責めに帰すべき事由による汚損又は破損について、その復旧費用は賃借人の負担とすること」とされている。そのため、本来であれば、これらに該当する汚損又は損傷は、すべて原告が全額を負担すべき原状回復工事費用となる。
しかし、本件においては、原状回復費用が高額となることに鑑み、原告の負担を軽減するためにこれを形式的に当てはめるのではなく、上記に該当するものの、重度ではない汚損又は破損部分については、原告の負担を50パーセント(被告らにおいて50パーセントを負担する)とする取り扱いをしている。
すなわち、本件見積書の備考欄において、「賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書による」としている事項は、本件賃貸借契約上は100パーセント原告の負担であるところ、その半分を被告らにおいて負担するという減額措置を講じている(ただし、「キッチン床上張り材工共」については、甲2の3)。
他方で「善管注意義務違反」と記載されている事項は、汚損又は損傷が重大であることから、原則どおり100パーセント原告の負担としている(ただし、「リビング網戸張替え」については、2枚の網戸のうち1枚が汚損・破損していたため、負担割合は50パーセントとしている。甲2の3)。
なお、以上の点については、被告代理人から原告に対して文書にて詳細に説明しているとおりであり(甲3の2)、また、本件建物の明渡し後の写真を確認すれば、汚損及び破損の程度も明らかである(乙2及び乙3の写真参照)。
(3) 念のため、以下において、原告が負担すべき工事部位ごとに説明する。
ア ルームクリーニング代について
ルームクリーニング代は、本件説明書【2】当該契約における賃借人の負担内容について・[1]において「本契約では、特約として以下のことを賃借人の負担で行うことにしています」とし「室内全体のハウスクリーニング(自然損耗・通常使用による部分も含む)」と明示されている。本件説明書は、東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例・第2条に基づく文書であり、前述のとおり、本件賃貸借契約締結時にその記載内容を「当該住宅を借りようとする者」である原告に説明のうえで交付し、原告自身が署名したものであって、本件賃貸借契約と一体となるものである。
イ 壁クロス張替費用について
壁クロスは、被告管理会社において、明渡し後に現状確認を行ったところ、削れ、へこみに加え、クロスがめくれ上がっている箇所やインクが付着している箇所等が散見され(乙2)、入居時点が新品でなかったこと及び13年間の居住期間を考慮しても劣悪な損傷が認められる。ウ 床上張り費用について
玄関、廊下及び各居室の床は、被告管理会社において、明渡し後に現状確認を行ったところ、削れ、へこみに加え、ワックスが剥げている箇所やフローリングが破損している箇所等が散見され、13年程度の居住期間を考慮しても劣悪な損傷が認められる。エ 網戸張替
本件見積書中、網戸については2面のうち1面について張替え費用を計上している。
張替の対象となる網戸は側面及び下部の網が枠から外れる等といった破損があり、13年程度の居住期間を考慮しても劣悪な損傷が認められる(乙2)。
この点、張替対象としていない他方の網戸はこのような損傷がないことからも、善管注意義務は明らかである。3 まとめ
以上より、原告の主張には理由がなく、直ちに棄却されるべきである。以上