【第64回】和解しないことにしました(1/2)

はじめに

 第4回期日にて、裁判所から和解案が提示され、Hayatoはそれに応じる旨述べました。

一方、被告ら代理人は持ち帰り、1か月後の令和3年■月■日までに和解案の諾否について回答することになっていましたが、期限を迎えても回答が来ませんでした。そこで、原告の和解に対するスタンスについてと、次に被告ら準備書面(1)および(2)に対する反論について、第3準備書面として書面を送付することにしました。

その内容について記載します。

第3準備書面の内容

第2準備書面の内容は以下の通りです。

2回に分けて記載します。

令和3年(少コ)第■■■号 敷金返還等請求事件
原告 Hayato
被告 オーナー会社 外1名

第3準備書面

令和3年■月■日
東京簡易裁判所 民事第■室■係 御中
原告 Hayato  印

第1 はじめに
 第4回期日にて、裁判所から和解案が提示され、原告はそれに応じる旨述べたが、被告ら代理人は持ち帰り、1か月後の令和3年■月■日までに和解案の諾否について回答することになっていたが、期限を迎えても回答がない状況である。そこで、まずは、原告の和解に対するスタンスについてお伝えしたい。

 つぎに、(追って認否、反論を行うとしていた、)被告ら準備書面(1)の「第2 被告の主張」の「2 本件建物の原状回復費用について」以降の被告らの主張、さらに被告ら準備書面(2)に対しての認否、反論を本書面にて行う。なお、「内容証明郵便の送付に要した費用」および「精神的損害」についての反論は追って行う。

第2 原告の和解に対するスタンス
1 裁判所提示の和解案は、下記2に記載のとおり原告として妥協した案であるにも関わらず、被告らは約束した期日になってもその諾否を回答しなかった、さらに、訴訟提起前の敷金返還に関するやり取りから本日に至るまで被告らによる不誠実な対応が続いてきたことは、訴状に記載のとおり、またこれまでの弁論期日及び期日間の対応のとおりであり、原告は長期間にわたり我慢を強いられており(今回も■月■日期限に合わせて年末帰省を遅らせていた)、さらには不安な日々を過ごしてきたことからその原告感情も踏まえたうえで、改めて検討した結果、被告らとの和解は一切受け入れないこととしたい。

2 裁判所提示の和解案は、原告への支払額は38万4087円(ルームクリーニング代64,420円については、諸事情を考慮して原告が2万円負担)としているが、原告は本件訴訟を提起したことによる訴訟費用を負担しており、また、遅延損害金も発生していることから、その点も考慮した上で、原告にとって悲観的な仮定での判決になった場合の見込み額を試算した。

その結果、悲観的な仮定を置いたとしても、原告への支払額は、敷金返還額33万3225円に、訴訟費用額確定処分額(下記(1)、およそ25,900円)および遅延損害金額(下記(2)、およそ7,258円)を合算すると合計額は366,383円に上り、裁判所提示の和解案と大きな違いはない。

さらに下記(3)の観点と、上記のとおり長期間に及んだ結果の原告の感情も考慮に入れると、裁判所提示の和解案は、原告にとって妥協した案であると原告としては考えている。

(1) 原告の訴訟費用の見込み額
訴状に記載のとおり、訴訟提起前の被告らによるのらりくらりと躱される対応が続いたことから、原告としては、訴訟提起を余儀なくされており、その結果、訴え提起手数料、郵便切手代(訴状送達等に要した費用)、書類の作成費用、被告ら法人の登記簿謄本取得のための書類交付費用を負担している。

そして、下記(2)にも記載のとおり、被告ら代理人の対応の結果、訴訟提起後も何度も期日を空転させたことにより要した費用(出頭日当、出頭旅費)も発生している。(被告ら代理人側の訴訟費用についてのここでの記載は割愛する。)

そして、(クリーニング特約は有効であり)ルームクリーニング代を原告が全額負担し、かつ内容証明郵便費用や精神的損害の賠償請求が一切認められなかったとの(原告にとってかなり悲観的な)仮定の上では、判決により終局した際の訴訟費用の負担割合は、概ねの見込みとして、原告3、被告7くらいになると思われる。

 そうすると、上記仮定の判決が確定した際には、訴訟費用額確定処分の申立てを行うことにより、原告が被告に請求できる額は、以下の計算式のとおり、概ね25,900円位になると思われる。

(計算式)
原 告:37,000×7/10=25,900円

(2) 敷金返還債務の遅延損害金の見込み額
原告は、訴状に記載のとおり、敷金の返還請求額(40万6087円)等について、遅延損害金を求めている。

これは、①訴状においてこれまでの経過として記載したとおり、被告ら及び被告ら代理人は、敷金の返還に関する話し合いに応じるどころか敷金返還義務者をいつまでも明らかにせず徒に長引かせた上、さらには、原告に対してさらなる原状回復費用の支払を求めようとする等の圧力をかけたこと、また、②原告が訴訟を提起したところで、短期間での解決に至らずに長期化する可能性も想定されたこと(そして、実際のところ、被告ら代理人は書面の提出期限を徒過したり、失念したりしており(別紙の経過一覧表参照)、期日が何度も空転して審理の長期化に及んでいる。)等を視野に入れた上で請求したものである。

 結果として、本件賃貸借契約を解約した令和3年1月頃、または、敷金の一部のみが返還された同年2月頃から、本件訴訟の判決が出て確定に至ると思われる頃の期間を見積もるとおおよそ1年の期間を要することになり、被告らへの訴状送達日の翌日から、本件訴訟の終了(一審で判決が確定した場合)までの期間でみても、少なくとも半年以上の期間を要することになる。

 そして、これまで、不動産の賃貸借契約に関するやり取りについて当然素人である原告は、本件に関し、時間的、精神的な労力を割きながら、専門家に何度も相談をしながら対応してきたわけであり、被告らの不誠実な対応により長期化したものであるから、遅延損害金という形で被告らへの請求を求める理由がある。

なお、本件の次回期日が令和4年■月■日であり、判決言渡日が仮にその2週間後であった場合、被告らへの訴状送達日の翌日(おおよその見込みとして■月末日頃)から、被告ら代理人の訴状送達によりその2週間後の判決確定(概ね令和4年■月■日頃)まで、およそ265日程度の期間があり、上記仮定での敷金返還額は33万3225円となり、この金額を基に算出すると、遅延損害金は、333,225×3%×265日/365=7,258円となり、およそ7,258円の遅延損害金が発生すると思われる。

(3)原告は、13年もの賃貸期間にわたり賃料を払い続け、壁クロス(耐用年数6年)等、耐用年数を超えて残存価値のない状態でも本物件を使用し続けた。裏を返せば、被告オーナー会社は、13年間、絶えることなく賃料収入を得ることができたし、次の入居者確保のための支出も削減できたのであるから、十分利益を留保できたと考えるのが自然である。

(続く・・・)