【第67回】不法行為に基づく損害賠償を請求する(2/3)

はじめに

今回、訴状に記載しているとおり、被告らに対して、不法行為に基づく損害賠償を請求しています。

その主張の整理・補強したものとして、第4準備書面を作成し、裁判所と被告ら代理人に送付しました。

その内容について3回に分けて記載します。第2回目です。

第4準備書面の内容

第4準備書面の内容は以下の通りです。

令和3年(少コ)第■■■号 敷金返還等請求事件
原告 Hayato
被告 オーナー会社 外1名

第4準備書面

令和4年■月■日
東京簡易裁判所 民事第■室■係 御中
原告 Hayato  印

(・・・前回からの続き・・・)

第4 被告公社に対する損害賠償請求

1 貸主および敷金返還義務者について

 被告らは原告に「貸主変更のお知らせ」(甲2の1)、「転貸借承諾依頼書」(甲2の2)を送付し、それに対して原告は被告らに「転貸借承諾書」(甲2の2)を提出しているのであるから、本件賃貸借契約の貸主および敷金返還義務を負う地位が被告オーナー会社から被告管理会社へ変更になった可能性があった。また(本件賃貸借契約の解約時に)いずれがその地位にあるかの情報を保持しているのは被告らである以上、敷金を預け入れた原告としては、その返還について確認するにあたり、被告らに対していずれがその地位にあるかを明らかにするよう求めたのであるから、被告らの両方あるいはその地位にある者は、それを明らかにする義務がある。

 ところが、原告から再三にわたって被告らに確認を求めたものの、被告らの間で一貫した回答が得られないことから両社を相手に訴訟提起に至ったのであるが、裁判所からの求釈明に対して、第3回期日になってようやくその地位にある者は被告オーナー会社であるとの釈明が被告らからなされた。

 そうすると、被告オーナー会社は原告に対して(自身がその地位にあるにも拘わらず)、「うちは貸主じゃないんです。」「■■(被告管理会社)が貸主になってまして」「私どもはあくまでも建物の所有者というかたちになってまして、法律的に言うと貸主ではない」(甲8の1)、「私どもは、全然、当事者、あの契約当事者とは今なっていないかたちとなっておりますんで、一切関係ないところに(内容証明を)送ってきた」「訴訟のかたちになるとすると、■■(被告管理会社)を相手方でやって頂かないといけなくなる」(甲8の2)と事実に反する説明をしていたのであり、上記義務に違反している。

 なお、原告は被告オーナー会社に対して、「■■さん(被告管理会社)の方から、貸主は御社(被告オーナー会社)で■■は貸主代理っていう風にお聞きしたんですけど、そこは違いますか。」(甲8の1)、「■■さんのお話と話しが食い違っておりまして。」(甲8の2)と被告ら間で説明が食い違っていることを繰り返し伝えていたのであるから、それを受けて被告オーナー会社は被告管理会社へ連絡するなりして確認すればよかったところ、(不動産管理を業とする法人にも拘わらず)それを怠ったことで原告の被る損害の拡大に繋がった(最終的には訴訟によりその地位にある者を明らかにするしかなかった)のである。

 さらに、被告オーナー会社の事実に反する説明に振り回され、混乱し不安を覚えている原告に対して、■■弁護士は書面(甲3の8)にて、被告オーナー会社の発言の趣旨について当を得ない釈明をしたことで、原告の不信感がより一層増すことになったことは、訴状に記載のとおりである。

2 原状回復費用の具体的根拠

 敷金返還義務者である被告オーナー会社は、本物件の明渡し後に遅滞なく敷金を原告に返還する義務があるとともに、原告が預け入れた敷金から原状回復費用を差し引くにあたって(また実際に差し引いたのであるから)、その原状回復費用の具体的根拠(被告らは特別損耗を主張していたのであるからその根拠)を明らかにするよう原告から求められている以上、それを遅滞なく説明する義務があるところ、原告から内容証明郵便等により再三にわたりその説明を求められたにも拘わらず、不十分な説明に終始したことは訴状に記載のとおりである。

 上記「第3 退去立ち会いについて」に記載のとおり、被告管理会社は、令和3年1月10日(本物件の明渡日)の状態確認時に、特別損耗等、原告負担と思われる箇所の写真を撮っておくことになっていたのであり、また、その明渡日の1か月後である同年2月12日(本件法的トラブルに発展した後)にも被告らは追加で写真を撮りにいった(乙6)とのことであるから、その破損状況等を証する写真等を送付するよう(送付費用は原告負担でもよい旨もあわせて)求めている(甲3の3)原告に対して、それを送付して説明すればよかったところ、それを怠り、「既に送付済みの写真で必要十分」(甲3の4)ということでなかなか追加送付しなかったのであるから、原告の不安や被告らに対する不信感は募る一方であった。

 そこで、原告から改めて催促(甲3の7)したところ、ようやく写真を送付してきたが、(被告らは不動産賃貸管理を業とする法人であるにも拘わらず、)この写真(乙3)から被告らが「13年間の居住期間を考慮しても劣悪な損傷」と主張する損傷は見受けられないのであるから、原告の不安や不信、不快感はより一層増すことになったのである。

 なお、被告らは、「損傷の程度及び部位についてはこれら(図面および写真、乙2、乙3)を参照すれば明らか」(括弧内は原告にて記載)と主張するが、乙2、乙3を参照しても損傷の箇所や程度が不明瞭であるし、第2回期日にて、被告ら代理人自身も乙2、乙3をもとに損傷個所を説明できない写真が複数存在したことや、被告ら代理人自ら、損傷個所が不明瞭であるため損傷個所を把握できる写真を別途提出する、との発言をしたことは、「原告第1準備書面」に記載のとおりであり、このことからも被告らの説明が不十分であったことを裏打ちしている。

3 内容証明郵便費用と慰謝料の請求

 被告オーナー会社による上記1および2の義務違反の結果、原告は被告オーナー会社(および業務委託先である被告管理会社)に対して再三にわたって義務履行を求める内容証明郵便の送付を要し、その損害を被ったのであるから、債務不履行または不法行為に基づく損害賠償請求としてその送付費用の支払を求めるのであり、また、原告は時間的、精神的な負担を強いられたのであるから、不法行為に基づく損害賠償請求として慰謝料の支払を求めている。なお、被告らは、訴状およびこれまでの準備書面に記載のとおり、原告に対して不誠実かつ不信感を与える対応を行っていたのだから、内容証明郵便という手段を用いるには理由がある。(訴訟という法的手段を用いてさえも、被告らが敷金返還義務者を明らかにするのに第1回期日から3ヶ月半を要したこと、第2回期日にて損傷個所が不明瞭な部位について追加の写真を被告らが提出することになったものの、それから4ヶ月後になってようやく提出されたことから、被告らがいかに不誠実に対応していたかを窺い知ることができる。)

(続く・・・)