2021年1月7日(木)、日本政府は、新型コロナウイルス感染者数が大幅に増加している状況のなか、首都圏の1都3県を対象に、1月8日(金)から2度目の緊急事態宣言の発令を決定しました。
さて、退去立ち会いについてですが、1月8日(金)に、管理会社からあらためて1月10日(日)の退去立ち会いについて確認のお電話をいただきました。
そのお電話で、私は以下の理由から、退去立ち会いの実施を控えることについて打診しました。
- 東京で緊急事態宣言が発令されたこと
- 新型コロナウイルス感染症ではないが、家族にウイルス性感染症に罹ったものがいること
- 緊急事態宣言下では退去立ち会いの実施を控えている不動産会社も実際にあること
(実は2020年11月末から、家族の一人に、原因不明の高熱が続き、12月に大学病院に入院し、12月末に熱が下がり退院しましたが、その原因としては、お医者さんから、○○病(何らかのウイルス性感染症である病気)であると説明されました。)
管理会社は「社内で確認しますね。」ということで一旦電話を切り、同日中に折り返しお電話をいただきました。
管理会社からのご回答は、
「社内で確認しましたが、退去立ち会いはなしとしますね。」
「但し、Hayatoさんの故意や過失による破損など、借主負担と思われる箇所はのちのちトラブルにならないように1月10日の状況確認時に写真を撮っておきます。」
「午後に状況確認を行いますので、1月10日の午前中までに鍵を郵便受けに入れて返却しておいてくださいね。」
とのことでした。
その後、2021年1月12日(火)に、管理会社よりメールにて、
「鍵のご返却ありがとうございます。後日解約精算に係る資料送付致します。」
との連絡を頂きました。
そのときは、のちのち本当にトラブルになってしまうとは、夢にも思っていませんでしたが、、
さて、借主の故意または過失による破損の補修費用は借主負担とのことですが、原状回復について、賃貸借契約書にはどのように記載されているのでしょうか。
(明渡し)
第11条 乙及び丙(借主)は、本契約が終了する日までに(第9条の規定に基づき本契約が解除された場合)あっては、直ちに、本物件を明け渡さなければならない。
この場合において乙及び丙は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗を除き、本物件を原状回復しなければならない。2 ・・・
3 甲(貸主)、乙及び丙は、第1項後段の規定に基づき乙及び丙が行う原状回復の内容・方法及び費用の負担については、甲の定める「退去時の住宅補修査定基準」によるものとする。
(退去物件の賃貸借契約書より抜粋)
第1項の「通常の使用に伴い本物件の損耗を除き、」との記載から、通常損耗分は借主が行う原状回復の対象ではない、と読み取れます。
また、第3項の「第1項後段の規定に基づき」との記載(第1項後段とは「この場合において乙及び丙は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗を除き、本物件を原状回復しなければならない。」)から、
借主が行う原状回復の内容・方法及び費用の負担については、通常損耗分は借主が行う原状回復の対象外という原状回復規定に基づく、と読み取れます。
ちなみに、現在入居している物件の賃貸借契約書はどうでしょう。
(明渡し時の原状回復)
第16条 本物件の明渡し時において、乙(借主)は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗及び本物件の経年劣化を除き、本物件を原状回復しなければならない。ただし、自然災害等乙の責めに帰することができない事由により生じたものについては、原状回復を要しない。
2 甲(貸主)及び乙は、本契約時において、本契約に係る明渡し時の原状回復の条件については別表の記載によることを確認した。
3 甲及び乙は、本物件の明渡し時において、別表の規定に基づいて乙が行う原状回復の内容及び方法について協議するものとする。ただし、原状回復の方法は、別表に特段の定めがない限り、甲が工事の手配等を行うものとし、乙は、自らの負担部分に係る費用を甲に対し支払うものとする。
(入居物件の賃貸借契約書より抜粋)
退去物件、入居物件ともに、原状回復の条件について、賃貸住宅の原状回復に関する費用負担の一般原則の考え方に沿っているものと考えます。
(ただし、「例外としての特約」の合意がある場合は、その限りではないことになります。)
退去物件の敷金返還にあたって、この「例外としての特約」の扱いがトラブルの一因になりました。
詳細は別記事にて記載します。