【第42回】債務不履行に基づく損害賠償(3)

はじめに

損害賠償義務の発生原因とは、2つに大別され、不法行為に基づくものと、債務不履行に基づくものがあります。

そこで、債務不履行に基づく損害賠償について、法律素人が調べてみました。前回のブログの続き(第3回)です。

損害の発生

債務不履行によって被害者(債権者)に生じた損害の種類として、財産的損害と非財産的損害(精神的損害)があるが、財産的損害はさらに以下に分けられる。

  1. 積極的損害
    債務不履行による既存の財産の滅失や減少
    例)物の修理費用や怪我の治療費
  2. 消極的損害
    非財産上の損害、この賠償金を慰謝料という。
    得られたはずの利益が債務不履行によって得られなくなったことの損失
    また、消極的損害として失った利益のことを逸失利益という。
    例)仕事を休業せざるをえなかったことによる収入源、転売により得られたはずの利益の損失

因果関係

債務不履行責任が発生するためには、債務不履行と損害発生との間に因果関係がなければならない。
債務不履行が原因となり、その結果としてある損害が生じたという原因・結果の関係がなければならない。

債務者の責めに帰することができない事由の不存在

事実としての不履行が、債務者の責めに帰することができない事由によって生じた場合、債務不履行責任は生じない。

(債務不履行による損害賠償)

第415条 債務者がその債務の本旨に従った履行をしないとき又は債務の履行が不能であるときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。ただし、その債務の不履行が契約その他の債務の発生原因及び取引上の社会通念に照らして債務者の責めに帰することができない事由によるものであるときは、この限りでない

債務者の責めに帰することができない事由の存否に関する具体的な判断は、契約ごとに個別に行われる。

  1. 結果債務
    一定の結果まで約束する債務。金銭債務は典型的な結果債務。
    債務者は、一定の結果を発生させることを引き受けたのであるから、債務者は原則としてそれが実現しないリスクを引き受けたと解される。(原則として免責されない。)
    結果債務においては、債務者が免責される余地は相対的に小さい。さらに、金銭債務については、例外規定が設けられており、不履行が不可抗力による場合でも、債務者は免責されない。
  2. 手段債務
    債務者は,達成すべき目的(債権者が希望する目的)に向けた手段をとり最善を尽くすことを約束債務。目標の達成は約束されていない。
    債務者が契約においてどのような行為義務ないし注意義務を負ったのかを確定し、この義務に違反があったかどうかを判定することとなる。義務違反が肯定されれば、事実としての不履行が存在すると解される。
    手段債務の不履行では、事実としての不履行の判断と責めに帰することができない事由の判断が一体化しており、説明責任に関して、結果債務の不履行との大きな違いとなる。
    結果債務は、債務者が帰責事由のないことを証明しなければならない。一方、手段債務は、債権者が債務不履行すなわち帰責事由を証明しなければならない。
(金銭債務の特則)
第419条 金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。ただし、約定利率が法定利率を超えるときは、約定利率による。
2 前項の損害賠償については、債権者は、損害の証明をすることを要しない。
3 第一項の損害賠償については、債務者は、不可抗力をもって抗弁とすることができない。