【第47回】不法行為に基づく損害賠償(1)

はじめに

損害賠償義務の発生原因とは、2つに大別され、不法行為に基づくものと、債務不履行に基づくものがあります。

そこで、不法行為に基づく損害賠償について、法律素人が調べてみました。

基本原理

不法行為についての制度の基本となる条文は709条です。

(不法行為による損害賠償)
第709条 故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

「故意又は過失によって」ということは、

不法行為を理由として損害賠償請求権が発生するためには、加害者の故意又は過失があることが要件になる

ということを原則としています。

この原則を「過失責任の原則」(過失なければ責任なし)といいます。

過失責任の原則は、

  1. 権利侵害の結果を行為者に負担させるための原理、であると同時に
  2. 行為者に対し行動の自由を保障するための原理でもある

過失の立証責任

不法行為に基づく損害賠償請求をした場合、

被害者は「加害者に過失があったとの評価を根拠づける具体的な事実」について主張・立証責任を追う。

過失の立証責任のルールとしては、

過失があったかどうかについての真偽不明(加害者に過失があったのかどうか、わからない)のリスクは、被害者が負担する

ということです。

過失とは注意義務の違反であり、加害者に課される注意義務を厳しくすればするほど、注意義務違反の事実、つまり加害者に過失があったという事実を被害者は立証しやすくなります。

また、「過失があったとの評価を根拠づける具体的事実」とは言えないまでも、それに関係する一定の事実(間接事実)があれば、裁判官が経験則を適用して、「過失があったとの評価を根拠づける具体的事実があった」との心証を形成したため、過失について「真偽不明」の事件ではなくなり、加害者に対する被害者の損害賠償請求が認められるということになります。(過失についての事実上の推定

民事訴訟法247条

(自由心証主義)
第247条 裁判所は、判決をするに当たり、口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果をしん酌して、自由な心証により、事実についての主張を事実と認めるべきか否かを判断する。

被害者が請求原因として主張・立証すべき事実

不法行為を理由とする損害賠償請求について、被害者が請求原因として主張・立証すべき事実は、通説的見解に従えば、おおよそ次のようになります。

  1. 被害者の権利(または法律上保護される利益)が侵害されたこと(権利侵害)
  2. 加害者が行為をするにあたり、加害者に故意があったこと、または加害者に過失があったとの評価を根拠づける具体的事実
  3. 請求原因②の行為と①の権利侵害との間の因果関係
  4. 被害者に生じた損害(およびその金額)
  5. 請求原因①の権利侵害と④の損害との間の因果関係

主張責任と立証責任

主張責任とは、ある事実が弁論で主張されなかったときに、敗訴してしまう不利益を原告・被告のいずれが負担するか、

という問題であり、ある事実(要件事実)が弁論において主張されなかったことによるリスクを、

主張責任を負担する者に課す。(主張しないことのリスク負担)

立証責任とは、真偽不明のリスク負担(その事実が立証されなかったことによる不利益の負担)です。