【第49回】不法行為に基づく損害賠償(3)

はじめに

損害賠償義務の発生原因とは、2つに大別され、不法行為に基づくものと、債務不履行に基づくものがあります。

そこで、不法行為に基づく損害賠償について、法律素人が調べてみました。第3回(因果関係について)です。

因果関係とは

因果関係について、大別して2つの考え方があります。

なお、因果関係の主張・立証責任は、被害者側が負うことになります。

  1. 加害行為(故意・過失ある行為)と損害との因果関係を問題とすれば足りる
  2. 加害行為と権利侵害との間の因果関係(責任設定の因果関係)と、権利侵害と損害との間の因果関係(賠償範囲の因果関係)を分けて考える

条件関係(事実的因果関係)

因果関係があるとされるためには、少なくとも、事実のレベルで、被害者に生じた権利侵害(または損害)が加害行為の結果であるという関係(条件関係(事実的因果関係))が認められなければなりません。

通説は、「あれなければ、これなし」という公式(不可欠条件公式)を用いて、条件関係の存否を判断します。

Pという行為がQという結果の原因か否かについては、「Pがなかったと仮定したならば、Qが生じなかったであろうか」を考えます。

因果関係の証明度

(東大病院ルンバール事件の最判)

訴訟上の因果関係の立証は、一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく、経験則に照らして全証拠を総合検討し、特定の事実が特定の結果を招来した関係を是認しうる高度の蓋然性を証明することであり、その判定は、通常人が疑を差し挟まない程度に事実性の確信を持ちうるものであることを必要とし、かつ、それで足りるものである。

「高度の蓋然性」を証明することで因果関係の立証は足りるとの判断は、その後の医療訴訟に大きな影響を与えることになりました。