【第75回】相手方の準備書面(3)第4回

はじめに

期限から2週間経過後、ようやく被告らから追加の準備書面と証拠書類が送付されてきましたので、その内容について記載します。第4回です。

※この準備書面における主張および証拠は、最終期日にて、時機に遅れた攻撃防御方法として却下されました。

準備書面(3)の記載内容

準備書面(3)の記載内容は以下の通りです。長文ですので、複数回にわたって記載します。

(・・・続き・・・)

第3 本件建物における各損傷部位について

1 本件における損傷部位の取扱(特約の一部免除)
 本件特約イによれば、退去時に特別損耗が認められる場合には、その復旧費用は全額賃借人の負担となる。
 他方で、本件特約ウによって、通常損耗(経年劣化、自然損耗)の場合であっても、復旧費用のうち50パーセントは賃借人の負担となる。
 しかし、被告オーナー会社と被告管理会社(以下「被告ら」という)は、原告が13年間と長期間にわたり本件物件に居住していることから一定の資本回収ができていること、及び本件特約イ及びウを直接適用すると賃借人の負担すべき原状回復費用が高額になってしまうことを考慮して、原告の負担を軽減すべく、本件では、(A)自然損耗と判断した箇所の復旧費用については賃貸人負担とする(賃借人には請求しない)こととし、(B)特別損耗の部分についても原則として50パーセントのみを賃借人負担とすること、(C)特別損耗の状態が極めて悪質である箇所に限って復旧費用の全額を賃借人負担とすることとした。
 以上に従って原状回復工事費用40万6087円を算定し、見積書(甲2の3。以下「本件見積書」という)を賃借人に提出している。
 本件見積書のうち、⑯「ルームサービス」は本件特約アによって認められる費用であり、⑨「リビング 網戸張替」(ただし、2枚ある網戸のうち1枚であるため、負担割合は50パーセント)⑭「玄関 靴箱ダイノック張替」及び⑮「洋室8.1帖 入口枠 ダイノック張替 材工共」の3項目については、上記(C)特別損耗の状態が極めて悪質である箇所であるため、復旧費用の全額を賃借人負担とし(本件見積書には備考欄に「善管注意義務違反」と記載)、その余の12項目(①②③④⑤⑥⑦⑧⑩⑪⑫⑬)については、本件特約の義務を軽減して(B)特別損耗の部分についても50パーセントのみを賃借人負担とした(本件見積書には備考欄に「賃貸借住宅紛争防止条例に基づく説明書による」と記載)。その他の箇所についても当然に自然損耗が生じているが、(A)自然損耗と判断した箇所の復旧費用については賃貸人負担とする(賃借人には請求しない)こととし、本件見積書備考欄に「自然損耗」と記載して、負担(請求額)をゼロにしている。

(続く、、、)