【第27回】退去時の住宅補修査定基準とは

はじめに

以前のブログからの続きです。

管理会社に対して、退去時の通常損耗補修特約に関する回答を求めていましたが、

返信されてきたメールは以下でした。

Hayato 様

 

お世話になっております。
管理会社でございます。

先日よりご照会いただきました件について、ご回答致します。

専門家にご相談させていただき、先日のものと同様に、添付いたしました賃貸借契約書等に基づき作成した原状回復工事見積額を敷金から差し引いた解約清算書の金額を、Hayato様の口座に早々にご返金させていただきます。

また、2月2日のメールにありました工事の方法等についても、契約書に添付されております「退去時の住宅補修査定基準」に基づいて行わせていただき、見積書もそれに基づいた工事の方法等で作成しております。 どうぞよろしくお願いいたします。

通常損耗補修特約に関する具体的な回答を頂くことはできませんでしたが、上記メールに記載されている「退去時の住宅補修査定基準」とはどのようなものなのでしょうか。
そこで、調べてみました。

契約書の記載事項

本物件に関する賃貸借契約書には以下の記載があります。

(明渡し)

第11条 乙及び丙(借主)は、本契約が終了する日までに(第9条の規定に基づき本契約が解除された場合)あっては、直ちに、本物件を明け渡さなければならない。この場合において乙及び丙は、通常の使用に伴い生じた本物件の損耗を除き、本物件を原状回復しなければならない。

・・・

3 甲(貸主)、乙及び丙は、第1項後段の規定に基づき乙及び丙が行う原状回復の内容・方法及び費用の負担については、甲の定める「退去時の住宅補修査定基準」によるものとする。

・・・

私としては、以下のように読み取りました。

  • 通常損耗分については、借主の原状回復の範囲外であること。
  • 上記規定に基づき、「退去時の住宅補修査定基準」に記載の内容・方法・費用の負担に基づき、借主は原状回復を行うこと。
  • 原状回復の方法(クリーニング、塗装、張替、修理など)は、貸主が決める、とは明記されていないこと。

契約書には、「退去時の住宅補修査定基準」が合綴されていました。

※合綴(がってつ):とじあわせて1つにすること。

退去時の住宅補修査定基準

では、住宅補修査定基準にはどのように記載されているのでしょうか。

本件に関連する箇所のみ抜粋してみました。

■壁・天井

項目単位退去者負担内容施工方法備考
クロス①破損したもの

②居住中特殊な仕上げを行ったもの
・・・

③生活することによる汚損
①クリーニング
居住年数3年未満で比較的容易に美観及び衛生が回復できるもの

②塗装
クリーニングに適せず塗装下地として十分対応できるもの

③張替、修理
汚破損、剥がれが著しくクリーニング、塗装に適さないもの
①不可抗力による亀裂、剥離、収縮、反り、雨漏りによる汚破損のものは除く

*施工方法による範囲
ア.クリーニング
イ.塗装
ウ.張替
は室単位で施工する

*退去跡修繕等の特例
退去跡修繕等は、先の負担内容に準じて実施する。但し、③に定めるものについては、貸主と退去者とで2分の1ずつ負担するものとする。

■床

項目単位退去者負担内容施工方法備考
フローリング
ヶ所
②破損したもの

②居住中特殊な仕上げを行ったもの
・・・

③生活することによる汚損
①クリーニング
居住年数3年未満で比較的容易に美観及び衛生が回復できるもの

②塗装
クリーニングに適せず塗装下地として十分対応できるもの

③張替、修理
汚破損、剥がれが著しくクリーニング、塗装に適さないもの
①不可抗力による亀裂、剥離、収縮、反り、雨漏りによる汚破損のものは除く

*施工方法による範囲
ア.クリーニング
イ.塗装
ウ.張替
は室単位で施工する

*退去跡修繕等の特例
退去跡修繕等は、先の負担内容に準じて実施する。但し、③に定めるものについては、貸主と退去者とで2分の1ずつ負担するものとする。
  • クリーニング、塗装、張替は、室単位で施工する(修理は、㎡、ヶ所単位で施工する)
  • 不可抗力によるフローリングの亀裂、剥離、収縮、反り、雨漏りによる汚破損は、退去者負担ではない
  • 通常損耗を除く「生活することによる汚損」については、退去者負担は、特例として2分の1でよい?笑

ということなのでしょうか。。。