【第10回】賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書の添付

敷金精算時に、管理会社からメールにて原状回復工事見積書が送付されてきました。

見積書明細の備考欄に「賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書による」との記載があります。

メールでは、見積書と合わせてこの「賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書」のコピーが添付されていました。

「賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書」に記載されている内容を確認したいと思います。

●● 殿

東京における住宅の賃貸借に係る紛争の防止に関する条例第2条の規定に基づき、以下のとおり説明します。この内容は重要ですから、十分理解してください。

 なお、この条例は原状回復等に関する法律上の原則や判例により定着した考え方を、契約に先立って宅地建物取引業者が借受け予定者に説明することを義務付けたものです。

・・・

【1】退去時における住宅の損耗等の復旧について

1 費用負担の一般原則について

 ①経年劣化及び通常の使用による住宅の損耗等の復旧については、賃貸人の費用負担で行い賃借人はその費用を負担しないとされています。

 ②賃借人の故意・過失や通常の使用方法に反する使用など、賃借人の責めに帰すべき事由による住宅の損耗等があれば、賃借人は、その復旧費用を負担するとされています。
 (例)引越し作業で生じたひっかきキズ、エアコンなどから水漏れし、その後放置したために生じた壁・床の腐食

2 例外としての特約について

 退去時における住宅の損耗等の復旧について、上記1の一般原則とは異なる特約を定めることができるとされています。
ただし、特約はすべて認められる訳ではなく、内容によっては無効とされることがあります。

【2】当該契約における賃借人の負担内容について

 本契約では、特約として以下のことを賃借人の負担で行なうことにしています。

 [1] 室内全体のハウスクリーニング(自然損耗・通常使用による部分も含む)

 [2] 退去時における住宅の損耗等の復旧について

 (1)賃借人の責めに帰すべき事由による汚損又は破損について、その復旧費用は賃借人の負担とすること。

 (2)賃借人が居住中特殊な仕上げを行った場合等について、その復旧費用は賃借人の負担とすること。

 (3)生活することによる汚損について、その復旧費用は賃借人と賃貸人とで2分の1ずつ負担すること。

・・・

(退去物件の「賃貸住宅防止条例に基づく説明書」より抜粋)

添付された上記説明書のコピーには、下記条項が黄色の蛍光ペンでハイライトされておりました。

 [1] 室内全体のハウスクリーニング(自然損耗・通常使用による部分も含む)

 [2] 退去時における住宅の損耗等の復旧について

 ・・・

 (3)生活することによる汚損について、その復旧費用は賃借人と賃貸人とで2分の1ずつ負担すること。

 
原状回復工事見積書の備考欄に「賃貸住宅紛争防止条例に基づく説明書による」と記載されていた、クロス張替えやフローリング張替え費用は、上記特約の

(3)生活することによる汚損について、その復旧費用は賃借人と賃貸人とで2分の1ずつ負担すること。

を根拠に借主に請求しているようです。

「生活することによる汚損」とは、具体的にどのような汚れや傷なのでしょうか。

 ルームクリーニング代については、上記特約の

 [1] 室内全体のハウスクリーニング(自然損耗・通常使用による部分も含む)

を根拠に借主に請求しているようです。