【第97回】控訴審準備書面(3)を提出

はじめに

控訴審第1回期日にて、私と相手方の双方に宿題が与えられ、期日続行となりました。

相手方からその宿題について準備書面が郵送されてきましたので、それに対する反論を記載した準備書面(3)を作成しました。

その内容について記載します。

控訴審準備書面(3)の内容

控訴審準備書面(3)の内容は以下の通りです。

令和4年(■)第■■■号 敷金返還等請求控訴事件
控訴人 オーナー会社
被控訴人 Hayato

控訴審準備書面(3)

令和4年■月■日
東京地方裁判所 民事第■室■係 御中
被控訴人 Hayato  印

令和4年■月■日付控訴人準備書面(2)(以下「控訴人準備書面(2)」という)に対して反論する。詳細は追って行う。

第1 本件賃貸借契約に付随する敷金契約について
1 本件敷金契約の当事者について
控訴人の、(本件賃貸借契約の一方当事者は訴外■■と被控訴人の両名であるが、)本件賃貸借契約に付随する敷金契約の一方当事者は訴外■■のみであるという主張には無理がある。
本件敷金契約については、契約書本体(甲1の1)の第6条(敷金)に定めがあるが、同条にて一方当事者は「乙(訴外■■)及び丙(被控訴人)」の両名(以下単に「両名」という)とされ、これに対して控訴人及び両名が署名捺印しているのであるから、本件敷金契約の一方当事者が両名であることについて当事者間に明確な合意がある。それに反して、本件敷金契約の一方当事者は訴外■■のみに限定するのであれば、当事者間にてその旨の明確な合意が必要であるところ、そのような事実はない。
したがって、本件敷金契約の一方当事者は両名であり、訴外■■のみであるとの控訴人の主張は認められないものと考えられるが、仮に控訴人のその主張が認められるのであれば、被控訴人としては、予備的に、訴外■■の本件訴訟への参加を検討する。
念のため、以下についても反論する。
(1) 控訴人の「法人である訴外■■が賃借人であるからこそ本件賃貸借契約を締結したのであり」との、賃借人が被控訴人個人のみの場合は本件賃貸借契約を締結しなかったかのような主張は不知。
(2) 控訴人の住宅金融支援機構に関する主張も不知だが、「そのため、仮に個人が賃料、敷金等を負担する場合には、賃貸人(原文ママ。正しくは賃借人と思われる。)は個人のみで足りるのであって、そもそも法人は契約に関与しないものである。」との主張は、法人である訴外■■が賃借人の一人として関与している本件賃貸借契約において、個人である被控訴人が賃料、敷金等を負担していないかのような主張であると考えられ、これについては否認する。
被控訴人が第1回期日で述べたとおり、賃料、敷金等を支払っているのは、訴外■■ではなく、被控訴人個人である。被控訴人個人の口座(銀行名支店名:■■、口座番号:■■、名義人:■■、以下「被控訴人口座」という)から本件賃貸借契約の賃料(■■円)と管理費(■■円)の合計■■円が自動引落されている証拠として、甲16(引落日■■年■月■日)、甲17(引落日■■年■月■日)を提出する。また、解約精算時の■■年■月分賃料・管理費の過払分■■円についても、■■年■月■日に被控訴人口座へ払い戻しされている(甲18)。

2 本件敷金の出捐者について
本件敷金の出捐者は、訴外■■ではなく被控訴人である。
控訴人は、本件敷金の出捐者は訴外■■であると主張するのであれば、敷金が振り込まれた際の振込元名義人を明らかにされたい。
念のため、訴外■■へ確認を行ったところ、訴外■■から「訴外■■は本件敷金を支払っていない。会社の通帳取引履歴にも支払った旨の記載はない。支払っていないのであるから本件敷金の返還先は被控訴人で何ら問題ない。」との回答を被控訴人は得ている。
(敷金の支払いは10年以上前であるから、被控訴人自身の口座取引履歴を銀行から取得することは困難であるが、)控訴人は敷金が「指定の振込口座に支払われている」こと自体は認めており、また、訴外■■はそれを支払っていないのであるから、客観的にみても、本件敷金の出捐者は被控訴人であるといえる。
以上より、本件敷金の出捐者は被控訴人であり、その返還先も被控訴人である(前述のとおり、訴外■■も被控訴人への返還で問題ないと回答している。なお、訴外■■の回答は正式に書面として提出する予定である。)。

念のため、以下についても反論する。
(1) 控訴人は、本件敷金について、乙10を訴外■■に対して請求した旨の主張をするが、乙10は訴外仲介業者から被控訴人に対して提示されたのであり、被控訴人がそれに基づき、当月及び翌月分の賃料・管理費等を含めて支払いをした。
(2) 控訴人は、本件賃貸借契約の解約に伴い、解約精算見積書を(賃貸人代理である)管理会社から訴外■■に対して提出した旨の主張をするが、それに対して反論する。
解約にあたっては、被控訴人個人が管理会社とやり取りを行っていた(甲11の1~甲11の6)。被控訴人が管理会社に解約申出書を提出し、管理会社から被控訴人に対して解約精算見積書がメールにて提出されたが(甲11の6)、提出された原状回復工事見積書(甲2の3)の宛名は被控訴人個人であるし、解約精算見積書においても「貴殿の銀行口座へ下記差引額をご送金致します。」としているが、その振込先口座は被控訴人口座であり(乙11下部の「お振込口座」)、実際に、■■年■月■日にその振込先口座へ敷金の一部である■■円が振り込まれた(甲18)。
(3) 以上から、控訴人は「本件敷金契約は、実質的に控訴人と訴外■■との間で締結された」と主張するが、むしろ、実質的には控訴人と被控訴人との間で締結されたものであるといえる。

第2 求釈明に対する控訴人の回答を受けて
 控訴人準備書面(2)の第2に記載の回答を踏まえ、控訴人に対して、以下の事項を明らかにするよう求める。
1 控訴人は控訴理由書6頁にて、「「退去時の住宅補修査定基準」(乙1)において、賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が具体的に明記されている。この点、以下において、本件で原状回復が問題となる16項目の損傷部位ごとに説明する。」と主張しているが、結局のところ、16項目について、「賃借人が補修費用を負担することになる通常損耗の範囲が具体的に明記されている」箇所が不明瞭であるため、その箇所を明らかにされたい。

以上