【第18回】少額訴訟か通常訴訟か

はじめに

原告である私は、通常訴訟ではなく少額訴訟を選択しましたが、はたして少額訴訟でよかったのでしょうか。

また、被告にも少額訴訟か通常訴訟かの選択権があります。被告の立場から見て、少額訴訟はどういった場合に適しているのでしょうか。

そこで、調べてみました。

少額訴訟の特徴

簡易裁判所に訴状を提出した際に、「少額訴訟手続についての説明書(原告用)」という用紙を頂きました。

そこには、少額訴訟の特徴について、以下のような記載があります。(抜粋・要約してます。)

  1. 一期日審理の原則

    裁判所は、原告や被告の主張を聴いたり、証拠を調べたりして、なるべく1回の期日で審理を終えます。
    そのため、訴状に書いたこと以外に、主張したいことがあれば、指定された口頭弁論期日までに全ての主張を裁判所に準備しておく必要があります。
    また、調べてほしい証拠があれば、口頭弁論期日までに全ての証拠を提出できるように準備しておく必要があります。

  2. 証拠調べの制限

    指定された期日に法廷ですぐに調べることができる証拠に限り調べることができます。そのため、主張を裏付けると考える証拠があれば、口頭弁論期日に証拠を持参する必要があります。
    また、主張を証明してくれると考えられる人がいれば、口頭弁論期日にその人を裁判所に連れてくる必要があります。

  3. 判決による支払の猶予

    裁判所は、審理の結果、原告の請求を認める判決をする場合であっても、被告の経済状況等を考慮して、特に必要があると判断した被告に対し、支払期限の猶予をしたりなどすることがあります。

  4. 判決に対する不服申立方法

    判決に対して不服がある場合はには、地方裁判所への不服申立て(控訴)はできませんが、判決書又は判決の内容を記載した調書を受け取った日から2週間以内に、その判決をした簡易裁判所に書面で不服(異議)を申し立てることができます。

  5. 通常訴訟への移行

    被告から、通常移行の申述があった場合には、通常の訴訟手続で審理されることになります。
    ただし、
    ①最初の期日に被告が原告の請求に対して言い分を述べた後、
    ②最初の期日に被告が言い分を述べなかった場合や被告が最初の期日に欠席した場合において、
    その期日が終了した後は、被告は、通常移行の申述をすることはできなくなります。

裁判所の職権で通常訴訟へ移行させられてしまう場合がある。
上記⑤の通り、被告からの申述があると、通常訴訟へ移行されてしまいますが、
原告あるいは被告が少額訴訟を望んでも、一定の場合に、裁判所は職権で通常訴訟への移行をさせられてしまう場合があります。
例えば、原告や被告の主張および証拠についての争点が多く、複雑な事件の場合などです。。。

原告の立場から見た少額訴訟

通常訴訟と比較して、原告の立場から見た少額訴訟はどのような有利・不利があるのでしょうか。

本件(私の敷金返還等請求事件)における私の意見もあれば、コメントします。

  • 一期日審理の原則から、早期の紛争解決を強く望む場合には、よい。

    はい、早期に解決したいですね。誰でも早期に解決したいのでは、と思います。

  • 原告の弁論能力に不安がある場合には、よい。

    はい、裁判自体がはじめてなので不安があります。。。

  • 証拠調べの制限は、原告の立証活動を制限するものであれば、よくない。

    そうですね。期日までに、必要と考える証拠を全て提出しないといけないですね。
    でも、何がどこまで必要なのか、必要であっても準備できるものなのか、がまだ分からないです。。。

実は、今回、敷金返還”等”請求事件と記載している通り、敷金返還の請求だけではなく、損害賠償請求もしております。

それに関する立証活動をどこまで行えばいいのか。。。という現状です。

被告の立場から見た少額訴訟

では、被告の立場からみたらどうでしょうか。

  • 反訴禁止は、被告にとって、よくない。

    ※反訴:同じ裁判のなかで、被告が原告を相手方として新たに提起する訴え。同じ裁判の中で相手を訴え返すこと。
    本件で、被告から訴え返されるようなことはないかなと。。。

  • 一期日審理の原則から、早期の紛争解決を強く望む場合には、よい。

    被告もいたずらに解決を先延ばししたくはないはず。。。

  • 被告の弁論能力に不安がある場合には、よい。

    被告らは弁護士に委任するでしょうから、全く不安はないでしょう。
    仮に、弁護士費用等を鑑みて、弁護士に委任しない場合であっても、
    被告らは法人であり、敷金返還訴訟ははじめてではないでしょうから、被告にとってはきっと不安はないでしょう。

  • 証拠調べの制限は、被告の立証活動を制限するものであれば、よくない。

    被告も、期日までに、必要と考える証拠を全て提出しないといけないですね。
    例えば、私の善管注意義務違反を主張するのであれば、それを立証する証拠等の準備が必要だと思われます。

被告の立場に立つと、全面的に争うのであれば、通常訴訟が適していると思います。

但し、私が被告の立場だったら、

被告は法人なので、経済合理性の観点から、

少額訴訟にて、いかに有利に和解で解決するか、

という方向で検討するかと思います。

ただし、もし和解できなかった場合は、

その時点では、もう通常訴訟への移行はできない(裁判所の職権による移行を除く)、ということになると思います。