【第81回】判決書が届く(3/3)

はじめに

第5回期日にて結審し、先日、判決言い渡しがなされましたが、数日後に判決書が特別送達にて送付されました。

判決書の内容について、記載したいと思います。3回に分けて記載します。第3回目(最終回)です。

判決書の内容

(・・・続き・・・)

(2)次のとおり、賃借人である原告が負担すべき原状回復費用はない。
ア ルームクリーニング費用
本件全証拠によっても、特別損耗があったことを認めるに足りない。
イ クロス張替費用
クロスの耐用年数は6年であるところ、本件建物の明渡しの時点において、同耐用年数の経過により、クロスの価値はほとんどないものと認められる。
ウ 網戸張替え、床上張り(床部分に面材を張ること)、ダイノックシート(化粧シート)張り
これらは、いずれも賃貸人が次の入居者確保のために行うものであり、原告が負担すべき費用とはいえない。
なお、原告は、被告らとの交渉過程において、玄関靴箱ダイノック張替(2万8000円)及び洋室8.1帖入口枠ダイノック張替費用(2万5000円)については原告自らが負担する旨述べたことが認められるものの(甲3の1)、これらの費用についても原告が負担すべき費用とはいえない。
(3)以上より、賃借人である原告が負担すべき原状回復費用はなく、被告オーナー会社は、原告に対し、前提事実(4)の既払金を除いた40万6087円の敷金返還義務を負う。

3 争点(3)について
原告は、主位的には被告オーナー会社に対し、予備的には被告管理会社に対し、原告が被告らに対し、被告らのいずれが敷金返還義務を負う地位にあるのかについて問い合わせをしたにもかかわらず、被告らから一貫した説明がなされなかったとして、債務不履行に基づく損害賠償請求として、4回分の内容証明郵便費用8835円(2390円、2635円、1540円、2270円の合計)を請求する。
しかし、原告が、被告らに対し、4回にわたって内容証明郵便を送付し、その費用として合計8835円を要した事実は認められるものの(甲3の1、甲3の3、甲3の5、甲3の7、甲7の1〜甲7の4)、本件全証拠によっても、被告らに違法な注意義務違反があったとは認められない。
よって、原告の請求にはいずれも理由がない。

4 争点(4)について
原告は、被告らに対し、被告らとの対応によって、多大な時間的、精神的な労力、負担を要することになったとして、不法行為に基づく損害賠償請求として、慰謝料5万円を各請求するが、本件全証拠によっても、原告において慰謝料請求権が生じるような精神的損害を被った事実を認めることはできない。
よって、原告の請求にはいずれも理由がない。

第4 結論
以上より、原告の請求は主文1項の範囲で理由があるからこれを認容し、その余は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。

東京簡易裁判所
裁判官 ■■