はじめに
簡易裁判所の判決について、相手方が不服ということで、控訴しました。控訴理由書が届きましたので、それに対する反論ということで控訴答弁書を送付しました。
その内容について記載します。第2回です。
控訴答弁書の内容
控訴答弁書の内容は以下の通りです。前回の続きです。
(前回からの続き)
第3 時機に後れた攻撃防御方法却下の申立
控訴人は、当審においても、控訴理由書および乙8にて、原審被告ら準備書面(3)と同一の主張立証を再度行っている。具体的には、控訴理由書の「第2 原判決の事実誤認について」のうち、「一 「敷金から控除されるべき原状回復費用の額」について(特約の有効性)」の「2 本件特約の内容」(3頁)から「5」(12頁)まで、および「二 「敷金から控除されるべき原状回復費用の額」について(特別損耗)」の「2 本件建物における各損傷部位について」(13頁から19頁)は、原審被告ら準備書面(3)の「第1 本件特約の内容について」の「2 本件賃貸借契約における原状回復に関する特約(以下「本件特約」という)」(2頁)から「第3 本件建物における各損傷部位について」の「3 本件見積書における復旧費用の額が相当であること」(18頁)と同一である。
また、乙8(報告書)についても、原審被告ら準備書面(3)の「第3 本件建物における各損傷部位について」の「2 具体的な損傷部位及び内容」(13頁から18頁)と同一である。乙8は控訴人の関連会社である管理会社が作成しているが、管理会社は原審被告らの一人であり、原審被告ら準備書面(3)は被告らが連帯で作成したのであるから、同一といえる。
控訴理由書の上記同一箇所および乙8(以下「対象攻撃防御方法」という。)について、民事訴訟法157条1項により、時機に遅れた攻撃防御方法として却下されたく当審に申し立てる。
控訴審における民事訴訟法157条の適用について、現在の控訴審が続審主義をとっていることの当然の帰結として、第一審の審理経過をも通観して、時機に後れたかどうかが判断されるとされている。
原判決が原審被告ら準備書面(3)等を時機に後れたものとして正当に却下し、当審においても対象攻撃防御方法の提出を許すべき新たな事情が存在しない限り、これらの主張、証拠は時機に後れた攻撃防御方法として却下されるべきである。
被控訴人は控訴や附帯控訴もしておらず、控訴人代理人弁護士は原審から変更はないのであるから、当審において対象攻撃防御方法の提出を許すべき新たな事情はない。
第4 控訴の理由(控訴理由書の「第3 原判決の審理不尽について」以外)に対する答弁
控訴理由書「第3 原判決の審理不尽について」以外の箇所に対して答弁する。ただし、本控訴答弁書の「第3 時機に後れた攻撃防御方法却下の申立」に記載の対象攻撃防御方法については(却下の申立てをしているため)対象外とする。
1 控訴理由書「第1 原判決の判断」に対する答弁
否認ないし争う。通常損耗に関する本件特約は合意が成立していない。さらに、賃借人である被控訴人が負担すべき原状回復費用はない。よって、その旨判断した原判決は正当である。
また、先述のとおり、原審被告ら準備書面(3)等は却下の要件を満たしているから、それを原審にて却下したことは正当であり、原判決に審理不尽の違法はない。
2 控訴理由書「第2 原判決の事実誤認について」の「一 「敷金から控除されるべき原状回復費用の額」について(特約の有効性)」の「1」に対する答弁
否認ないし争う。(被控訴人の主張は原審における主張のとおりであるが、)本件賃貸借契約における本件特約の記載内容では、通常損耗補修特約の内容が具体的に明記されておらず、賃借人が負担することになる通常損耗の範囲が「一義的に明白」ではない、また、「賃貸人が口頭により説明し、賃借人がその旨を明確に認識し、それを合意の内容としたもの」という事実もない。よって、本件特約は合意が成立していない。
原判決は正当である。
3 控訴理由書「第2 原判決の事実誤認について」の「二 「敷金から控除されるべき原状回復費用の額」について(特別損耗)」の「1」に対する答弁
否認ないし争う。(被控訴人の主張は原審における主張のとおりであるが、)クロスについては、耐用年数の経過により残存価値はない。それ以外については、被控訴人による入居期間中の特別損耗はない。仮にあったとしても、控訴人が行った工事は、特別損耗の補修として必要かつ合理的な工事といえず、控訴人が次の入居者確保のために行う工事であるから、被控訴人が負担すべき費用とはいえない。
以上から、賃借人である被控訴人が負担すべき原状回復費用はないとした原判決は正当である。
4 控訴理由書「第2 原判決の事実誤認について」の「三 まとめ」に対する答弁
否認ないし争う。先述のとおり、本件特約は合意が成立しておらず無効である。また、被控訴人が負担すべき費用はないのであるから、控訴人にて「被控訴人の事情に配慮したうえで適正な原状回復費用を算出」したという事実もない。
原判決は正当である。
以上