【第80回】判決書が届く(2/3)

はじめに

第5回期日にて結審し、先日、判決言い渡しがなされましたが、数日後に判決書が特別送達にて送付されました。

判決書の内容について、記載したいと思います。3回に分けて記載します。第2回目です。

判決書の内容

(・・・続き・・・)

1 前提事実
(1)原告は、平成19年■月■日、被告オーナー会社から、東京都■■(以下「本件建物」という。)を、賃料月額■■円、管理費■円、敷金52万2000円(賃料月額の■か月分)、賃貸期間2年間の約定で賃借し、本件建物の引渡しを受けた。また、原告は、同日、被告オーナー会社に対し、敷金52万2000円を交付した。
(2)その後、平成28年■月頃、(1)の賃貸借契約は一旦合意解除され、新たに、被告オーナー会社を賃貸人、被告管理会社を転貸人、原告を転借人として、(1)と同一の条件で、転貸借(以下「本件賃貸借契約」という。)された。
(3)原告は、令和2年12月頃、被告管理会社に対し、本件賃貸借契約の解約を申し入れ、令和3年1月10日、本件建物を明け渡した。
(4)被告管理会社は、令和3年2月12日、原告に対し、敷金から40万6087円(被告管理会社が主張する本件建物の原状回復費用額)を控除した11万5913円を敷金の残金として支払った。
(5)被告らは、本件第3回口頭弁論期日において、本件賃貸借契約に基づく敷金の返還義務者は被告オーナー会社である旨述べた。

2 争点
(1)敷金返還義務を負う地位にあるのは被告オーナー会社か被告管理会社か。
(2)敷金から控除されるべき原状回復費用の額
(3)被告らの債務不履行責任の有無
(4)被告らの不法行為責任の有無

第3 当裁判所の判断
1 争点(1)について
前提事項(5)により、本件賃貸借契約に基づく敷金返還義務を負う地位にあるのは被告オーナー会社であると認められる。

2 争点(2)について
(1)証拠(甲1の2)によれば、本件賃貸借契約には、通常の使用に伴う損耗(通常損耗)であっても、室内全体のハウスクリーニング費用は、賃借人の負担とすること、また、退去時における住宅の損耗等のうち生活することによる汚損についての復旧費用は、2分の1を賃借人の負担とする旨の特約があることが認められるが、同特約に定められている金額・範囲等が一義的に明白ではなく、賃借人である原告に予期しない特別の負担を課すことになるから、同特約は無効と解さざるを得ない。
よって、原告は、通常損耗について原状回復費用を負担することはなく、原告の責めに帰すべき事由により生じた損耗(特別損耗)についてのみ原状回復費用を負担することとなる。

次回に続く、、、)